目標もやる気もない生徒にはどう対応する?応用行動分析学ABAを使って考える

こんにちは。今日のテーマは「目標もやる気もない生徒にはどう対応する?」です。

コーチング型指導の目的は生徒が自ら目標を設定し、その達成のために自ら考えて努力ができるようにサポートしていくことです。

しかし、様々な理由で半ば強制的に塾に連れてこられた生徒の中には「私には目標なんてありません。
やる気もありません。勉強は嫌いだし先生と喋るのもめんどくさいです。」というケースがあります。
むしろ最初は目標もやる気もなかったりする方が多いかもしれません。

こういう生徒との対話こそ講師たちの腕のみせどころです(笑)
シンカライナーでは応用行動分析学(ABA)を指導の中に採用していますので、その考え方に沿ってどう対応したら良いかをお話していきます。

応用行動分析学を用いた指導とは?

まず、以下のような生徒を想定してみましょう。

新しく塾に入会したライナー君は中学2年生で反抗期真っ盛り(笑)
中高一貫校に通っているのですが、すでに授業について行くことができていません。
定期テストの点数を心配したお母さんに無理やり連れてこられて入会しました。
中学受験に失敗して今の学校に入学したので、勉強に対して苦手意識が強く自信がありません。
またこれまで強制的に勉強させられてきたので自分で目標を決めたことはないですし、勉強に嫌悪感を持っています。
講師が話しかけてもあまり積極的には返事をしてくれません。

【3ヶ月後に達成したい標的行動を決める】
講師はまず次の3ヶ月でライナー君にどんな状態になってほしいかを思い描き、生徒がどんな行動をできるようにしたいか(標的行動)を決めます。

例えば、講師が3か月後には自分の苦手分野を把握し、目標を立てて努力できるようになってほしいと考えたとします。
この場合「自らの力で苦手分野を把握し目標を立てて努力する」が標的行動となります。

では講師は「じゃあ、自分で苦手分野を把握して目標を立てう!そしてその目標を達成するためにちゃんと自習しようね!」と言って授業を始めてしまえばいいのでしょうか?
ライナー君は勉強に対して苦手意識も強く、勉強が嫌いです。講師との関係性も構築できていません。
そんな生徒に突然そんなこと言っても聞いてくれる訳がないですよね。
聞いてくれたとしたら、それは聞いているフリをしているだけで、おそらく3ヶ月経っても「自らの力で苦手分野を把握し目標を立てて努力する」状態にはならず、ライナー君はさらに自信をなくし、勉強が嫌いになっているでしょう。

課題分析から考える、勉強の取り組み方

【標的行動を課題分析し、下位行動を考える】
そこで次にこの標的行動を達成するために、何ができるようになる必要になるか(下位行動)を考えていきます。これを標的行動の課題分析と言います。

ライナー君の標的行動は「自らの力で苦手分野を把握し目標を立てて努力する」です。
その標的行動を課題分析すると、3つの下位行動を達成することが必要だとわかってきました。

下位行動1 講師と対話する

まず講師との関係生が構築できていないため、授業を円滑に進めていくには、講師と対話する、という行動ができるようになる必要があります。
おそらく最初から勉強の話をしても盛り上がることはないと思いますので、生徒の趣味の話や学校の話など生徒が話したがることをたくさん聞いてあげることが大切です。
ポイントは講師がたくさん話すのではなく、あくまでも生徒が自発的に話せるような問いかけを行い、興味深く話を聞いてあげることです。
ここではあくまで生徒が講師に自発的に対話することが達成されればいいので、アドバイスをしすぎたり、説教のようにならないように気をつけます。

下位行動2  勉強に取り組む

今、ライナー君は勉強に苦手意識を持っています。
例えば英語が大嫌いで、もうアルファベッドなんて見たくもない、リスニングなんてもってのほかと思っているとしましょう。こういう場合は、生徒との対話を通して何か勉強と結び付けられそうな趣味や好きなものがないかを探ります。
例えばライナー君が昔ドラえもんが好きで良く観ていたことがわかったなら、英語に興味を持ってもらうために、ドラえもんの英語verをYoutubeで探してきます。

 

のび太やドラえもんが英語で喋ってることに少しは興味を持って観てくれるかもしれないですよね。
日常会話レベルなので、スロー再生や字幕をつけてなんと言っているのか一緒に考えてみる、ということから始めて観てもいいかもしれません。
その他にも英語であれば音楽や映画、漫画、ゲームなど比較的簡単に生徒が好きなものと組み合わせて授業を行うことができるでしょう。
どの教科についても、このようなきっかけを工夫して作ることで、生徒の勉強に取り組むという行動のハードルを下げていきます。

また今まで勉強しても報われなかったという体験をし続けているケースが多いので、必ず目標のハードルを下げて達成感を得られるようにしましょう。
人間の行動はメリットがなければ強化されません。勉強したら「良いことがあった」と脳が認識しなければ、勉強という行動は増えないのです。
勉強したら「できた!」「褒められた!」「嬉しかった!」という体験を増やすことが結果として勉強に取り組むという行動を増やすことに繋がります。

下位行動3:自分で勉強内容を決める

最終的には自分で苦手分野を把握して、目標を設定し、自学自習を進めてほしいわけですが、そのためには自分で勉強内容を決めるということがまずできなければなりません。

まず一番簡単なレベルでは、3つある問題のうち、どれを解くかを選んでもらうということをやってもらいます。
どの問題を解いても構わないのですが、あえて生徒に自分で選んで解いてもらうことで、自ら目標を選び達成するという感覚を育てていくことが狙いです。

次のレベルでは宿題で復習する単元を選んでもらうということができるでしょう。
生徒が単元を選んだら、なぜその単元を選んだのかを話してもらいましょう。
「苦手だからできるようになりたい」「好きだからもっとできるようになりたい」こんな答えが返ってきたら、それは大きな成長です。
なんとなく勉強するのではなく目標を持って勉強できるようになってきているわけですから。

人は普段から日常生活のなかでたくさんの選択して生きています。なんとなく選択していることも多いと思います。
自分で目標設定する練習として「なぜ選択するのか」を意識しながら選択するように生徒に伝えてあげると、勉強以外でも練習になっていいでしょう。

学習環境の分析が生徒のやる気向上の鍵

さてここまで、「目標もやる気もない生徒にはどう対応する?」というテーマでお話ししてきましたが、最後に大事なポイントをお伝えします。
それは目標もやる気もないのは決して生徒が悪いわけではない、ということです。
求められることのハードルが高すぎたり、生徒が勉強にメリットを感じられなかったり、勉強を通して嫌な思いをしていたり、あくまで生徒の学習環境に問題があるのです。生徒の行動を変えるためには、講師がその学習環境を分析し、生徒がやる気を持って、学習できるような環境に変えてあげる必要があります。
そうすれば必ず生徒の行動は変わってきます。

応用行動分析学(ABA)を使った学習指導 (まとめ)

  • 3ヶ月後、生徒に何をできるようになってほしいか(標的行動)を決める
  • そのために何ができるようになるべきか(下位行動)を分析する
  • 一つずつクリアしていけば、必ず標的行動を達成することができる。
  • できない生徒が悪いわけではない。問題はその生徒の学習環境である。

さて今日はここまで!それではシュクラン!(アラビア語でありがとう)

2019-07-06T19:23:17+00:002019年7月1日|