塾報 2017.12

厳しい寒さの季節になりました。受験生の皆さんは志望校を目指して日々勉強に励んでいることと思います。また学校の定期テストも終わり、多くの生徒が今学期の復習をしつつ、それぞれの課題に取り組んでいることでしょう。目標に向かってひたすら走る日々でも無理のしすぎは禁物、体調や心のバランスを保ちながら、元気にこの時期を乗り越えましょう。

◯今月の教室
■センター試験直前
センター試験が近づいてきました。今年の試験の日程は1月13日と14日です。受験生の皆さんは追い込みの時期、ラストスパートに向けて日々の勉強にも熱が入っていると思います。自分がまだ押さえられていないポイントはどこなのか、教科ごとに捉え直し、本番まで計画的に勉強を進めていってください。今までの努力の成果が本番で余すことなく発揮されるよう、講師一同お祈りしています。

■読んでおきたい本
教室の本棚に1冊本が増えました。『特別授業3.11 君たちはどう生きるか』(河出書房新社)何名かの作家や各界のエキスパートが国語、歴史、理科、政治など、それぞれの教科ごとに子どもたちに語っています。この本は2011年3月に起こった震災後に、将来この国を担っていく子どもたちに向けて書かれた本ですが、その内容はどれも本質的で、大人が読んでも考えさせられるものばかりです。先週よりいくつかの国語の授業でこの本の中にある文章を読んでいます。「歴史」について書かれたものを読んだ生徒は、個人史と世界史について、宗教と科学におけるそれぞれの世界観の違いについて思いを巡らせていました。現在の日本の状況を正確に捉え、未来の進むべき道を探ろうとするこの本は、読む人たちに語りかけ、多くの問いを投げかけます。その文章に触れて考えを深めていくことは、自らの血肉となり、これからの時代を生きて行く力になるだろうと思います。
この他にもたくさんの「良書」があります。ぜひ冬休みの時間を使って、ふだん読めないような本や、自分の世界を広く深くしてくれるような本を読んでみてください。

◯お知らせ
■年末年始のお休み 12/30(土)〜1/3(水)
年内の授業は29日(金)まで、年始は4日(木)から再開します。受験生の方でお休みの期間中自習室を利用されたい方は事務局までお問い合わせください。

◯「教育」耳寄り情報
勉強のコツ 〜数学編〜
どうすれば勉強ができるようになるのか。それにはコツがちゃんとあります。要点を押さえることで、なんとなくやっていた「勉強」から、能動的な「学習」に変化していきます。そのコツを、教科ごとに複数回にわたって紹介していきます。今回は「数学」です。なお、教科別にまとめてはいますが、これらのコツはどの教科にも共通していると思いますので、ぜひ他の教科の学習にも役立ててみてください。それでは、一緒に見ていきましょう!

数学を勉強するコツ、それは「覚えないこと」です。何かを覚えようとする時、人間の思考は止まってしまいます。「なぜだろう?」「これは本当だろうか?」と考えることを止めてしまうのです。数学の勉強のやり方に悩む生徒の多くは、公式や解法を暗記することが数学の勉強だと思っています。不幸なことにそう思わされてきてしまったのです。しかし、公式や解法を覚えて、それを当てはめて問題を解くということを繰り返しているうちは決して数学はできるようになりません。
それでは暗記の代わり、にどのように勉強すればいいのでしょう?定理や公式を覚えないですませるためには、「なぜだろう?」と考えることが必要です。そして自分が納得できるように、その背後にある「物語」やプロセスをつかみとらなければなりません。公式、例えば「底辺×高さ÷2」でなぜ三角形の面積が求まるのか、その公式に辿り着くまでのプロセスが物語です。物語がきちんとわかることは知的好奇心を大いに満足させてくれます。

◇暗記の代わりにすべきこと
・「なぜ?」を増やす
みなさんは授業の中で質問をすることができるでしょうか。質問ができるということは、「何がわからないか」がわかっているということで、これはとても大切なことです。なぜなら何がわからないかがわかるということは、真実のすぐ隣まで来ている証拠だからです。でもたいてい、「何がわからないかぼんやりしているんだよな〜」という人は多いでしょう。そんな人が具体的に自分のわからないところをあぶり出すためのとっておきの方法。それは「なぜ?」と自分に問いかけることです。今まで「そういう風に決まっているんだ」「とにかくやり方を覚えるしかない」と考えることをやめてしまっていたところで、諦めずに「なぜ?」を繰り返していくと、能動的に自分で答えを探すようになるでしょう。
・「意味づけ」をする
新しいことを学んだら、それが既に知っていることとどのようにつながるかを考えることはとても大切です。頭の中で他と関連付けられたことはなかなか忘れません。例えば、数学で言えば高校で習う微分・積分の「微分係数」は、もともとは1次関数の傾きの定義から発展した考え方です。1次関数のグラフの傾きが何を表しているかと考えてみる(考えたことがない人も立ち止まって考えてみる!)と、xの変化に応じてyがどのくらい変化するか、その割合を表しているとわかります。この考え方は1次関数に限らずどんな関数に対しても使うことができ、1次関数以外に使う時にはふつうこれを「平均変化率」と呼びます。そしてxの変化分を限りなく0に近づけたものが、ニュートンとライプニッツが考え出した微分係数です。このように、意味づけをしていくことで中学数学の知識から高校数学にまでつながります。最初は知識でしかなかったもの同士がつながり、やがて大きな地図が自分の内にできていくのです。
・「知識」ではなく「知恵」を増やす
わたしたちが蓄えた知識は、時間とともに確実に薄れていきます。しかし時間が経っても記憶に確実に残るもの、それは「知恵」です。知恵は単に頭で覚えるものではなく、体験と感動によって身につくものです。「こうやってみるとうまくいくよ」と教えてもらったことも、自分で実際にやってみて「あ、たしかにそうだな」と自分で納得し、感動する体験があることで、知識が簡単には忘れない知恵になります。数学において定理や公式は知識です。では知識としての定理や公式を知恵に昇華させるには・・・?それは証明です。証明をすることは、先人たちがその定理や公式を発見した時の驚きや感動を追体験することになります。自らの手で証明をすることで「すごいなぁ、本当なんだなぁ」と感動し、その体験が知識を知恵に変えてくれるのです。
・定理や公式の証明をする
数学の歴史はとても古いです。例えば紀元前7万年頃に描かれたという絵の中にも幾何学模様を見ることができますし、紀元前3万年頃の遺物の中に時間を表現しようとした形跡が見られます。私たちに馴染みの深い算術や幾何学に限ったとしても、少なくとも5000年以上の歴史があります。それに対して小中高の教育は12年間です。この12年間のカリキュラムの中には、5000年以上の数学の歴史の中で最も重要で洗練された定理や公式が詰まっています。その叡智の本当に大事なところは、定理や公式の結果にではなくそれが導かれたプロセスにあります。個々の問題の解法をただ覚えることは数学の力を育てる上で何の役にも立ちません。もし数学においてただ一つ覚える価値のあるものがあるとしたら、それは定理や公式の証明の方法です。どんな独創的な想像も、最初は模倣から始まります。そして、真似るのならば最高のものを真似なければ意味がありません。だからこそ定理や公式の証明を学ぶのです。天才たちがどのように式を変形したか、どのように論理を組み立てていったのかを白紙から完璧に再現できるように、何度も何度も証明に取り組みましょう。そうしているうちに、彼らの論理の積み上げ方が自分のものになったように感じる時がきっときます。

いかがでしょうか。今回ご紹介した数学を学ぶ上でのポイントは、他の教科を学ぶ際にも役立ちます。難しそうに感じた人もいるかもしれませんが、まずは教科書や黒板の公式や定理を書き写す前に、どんな物語やプロセスがその裏に隠れているのか考えたり、そのような公式が導き出せるのは「なぜ?」と問うことから始めてみてください。きっと数学だけでなく、考えること自体が楽しくなるはずです。
(参考文献:永野裕之『大人のための数学勉強法』ダイヤモンド社 2012年)

◯今月の一言
登山の喜びは山頂を極めた時にその頂上に達する。しかし私にとって一番の楽しみは、険しい山道をよじ登っている時である。険しければ険しいだけ、心臓は高鳴り、勇気は湧き出る。
ニーチェ(ドイツ生まれの哲学者 1844〜1900)

2018-02-16T12:15:07+00:002018年2月16日|